カンゲキ記

夢のひとときに感謝

十月大歌舞伎

10月芸術祭というと、毎年ジィさまばっか・・・いや、至高の芸が拝見できる(^^;
イメージが強いですが、今年は、おもだか屋さんを筆頭に東西の若手花形揃いの
何とも華やかな舞台でした。

6月の国立に引き続き、2回目の観劇会を実施。前回おもしろかったと言って
また参加してくださった方や、前回の評判を聞いて・・・と初歌舞伎の方など、
歌舞伎観劇の裾野が広がっている感じがして嬉しい限り。

今回は昼の部と夜の部、都合のよい方に参加していただいたのですが、
もちろん私は通しで観劇です(笑)

まずは、楽しみにしていた愛之助さんの『義賢最期』
いっやー、さすが愛之助さん!ってカンジ(どんなカンジ?)
その品格ある姿もさることながら、戸板倒しや仏倒しなんて大技も美しさと
ダイナミックさが混在してよかった。やっぱりこういう派手な立ち廻りは
ワクワクするね〜♪おもだかイケメンずも軍兵でガッツリ活躍。今月は全ての演目で
おもだかイケメンずの立ち回りが楽しめて、いやー眼福眼福。


そして、次も楽しみにしていた(笑)右近さんと笑也さんの京人形。
甚五郎(右近さん)が箱を開けて、京人形の笑也さんが現れた瞬間、客席に
ジワが湧いたよ、ジワが。もー、ホントに人形みたいに愛らしくて美しい。
先日、猿之助さんからシンデレラ賞が授与された笑也さん、何時まで経っても
変わらぬ少女の清潔さ。この瑞々しさをいつまでも保っていられるって凄いよねぇ。
以前観た京人形では、高麗蔵さんのおとく(甚五郎さんの奥さん)の健気さ、粋さが
とても印象的でしたが、今回は笑也さんの美しさ、それに反比例する人形振りの
可笑しみが全部持って行ってました。いや、笑三郎さんのおとくさんも素敵な女房でしたよ。
そして、終盤、大工イケメンズ(笑)と右近さんの立ち回りが、おもだからしく賑やかで
楽しい!あー立ち回りが充実しすぎて鼻血が出そう。そして、大工姿の喜之助さんの
アクロバティックな姿に萌え。ラスト、右近さんの後ろ(愛弟子ポジション・笑)で
鎌を持ってポーズを決める、その二の腕にも萌え。
はぁぁぁ、いいね、やっぱおもだかはいいね・・・

笑也さんの可愛らしさ、右近さんの巧さ、春猿さん(姫)の華やかさ、
笑三郎さんのたっぷり感、そして、三階イケメンズのかっこよさ。

短い舞踊劇ですが、チーム・おもだかの楽しさがギュッと詰まった一幕デシタ。


昼の部の切は、獅童さんの一心太助
ある意味、獅童さんちの家の芸ですよね。
うん、姿はいいんだけどさ、姿は・・・
口跡や仕草に、江戸っ子らしい色気や気風の良さがあまり感じられないのは残念。
家光とのとりかえばやで二役。殿様らしいおっとりさを出そうとしている
のはわかるのですが、この人がやるとやっぱりバカ殿っぽいんだよなぁ。

痛快娯楽劇だから、全編通して笑いの絶えないストーリーではあるんだけれど、
メリハリがなくってさ。ちょっとダラダラとした印象。

そんな中で、右近さんの喜内(老中の側用人)が怪演。
右近さんの老け役って今まであまりありませんでしたが、すごくイイ!
今回は、段四郎さんの代役もあり、右近さんは老け役が目白押し。
猿弥さんのそれとはまた違った、奇怪さがなんともいい味。
喜内は、多くは語らぬ役ながら、その動きや表情がなんともおかしく、
猿弥さん演じる老中と二人、右往左往する姿が、客席の笑いを誘っておりました。

亀ちゃんのチャキチャキだけど、意地らしいおかみさんは可愛らしくてさすが。
家光の命を狙う、愛之助さんの敵役が、キリリとほどよいスパイス。

脇がいいだけに、太助がどーにも惜しいなぁ・・・と思ってしまったワケですよ。。


夜の部はお待ちかね、『當世流小栗判官
亀ちゃんの判官よかったよ!!でも、判官より浪七の亀ちゃんがすごくよかったよ!
なんか「猿之助を継ぐんだ」っていう、気概をすごく感じる演技でした。線の細さを
全く感じさせない大きさ。それでいて、お駒ちゃんのヒステリックで盲目的な乙女の
感情を繊細に演じたり、小栗判官のヒーロー感をしっかり見せたり・・・すべてが
疎かにならない。やっぱり、主役はこうでなくっちゃね!(^^;

笑也さんの照手は安心の美しさ(笑)
私は、小萩に身を窶している時の照手が大好き。
彼女の歩いた跡には、小花が咲いているかのような可憐さ。
田中みな実アナですら敵わない、愛くるしいペンギン歩き(笑)
(いや、田中アナよりナチュラルなぶりっ子だよ、笑也さんの方が・・・)
姫姿の時には見られない感情を露わにするいじらしさなど・・・
もー、なんでこんなに乙女なのさ!笑也さんっっ!
あー、キュン死にしそう。。

右近さん、猿弥さん、獅童さんの三バカズのやりとりも楽しい。
ここでも、獅童さんはやり過ぎの感がありましたが・・・
それをすっごく、冷ややかな態度で見つめる(しかし、堪え切れず目が
笑ってしまっている)右近さんと猿弥さんのアドリブ的台詞にも爆笑
させられました。

右近さんは胴八に加えて、病気休演の段四郎さんの代役にて横山大膳も。
代役とは思えない、堂々とした悪役っぷりでした。先ほどの喜内とは180度
性格の異なる老け役ですが、こちらも新たな右近さんの魅力が引き出されて
いました。胴八もめずらしく敵役。これまで、猿之助さん譲りのギラギラと
エネルギッシュな役柄の多かった右近さんも、亀ちゃんの猿之助襲名を機に、
様々な役柄に挑まれるおつもりかも知れません。
猿之助さんを彷彿とさせる右近さんの若々しい演技も魅力的ですが、今回の
ような、脇でどっしり支えたり、可笑しみのある右近さんもすごく良いと思う。
澤瀉屋の行く末に関してはまだまだ不安も感じますが、役者は揃っています。
右近さんには、荷を分ける仲間が増えたということで、これまで以上にのびのびと
その才を発揮していただきたいと思います。

段さんも、はよ歌舞伎に戻ってこーい!

なんか、久しぶりに大歌舞伎で、血が滾った!
今月は本当にいい座組だったと思う。巧みな関西歌舞伎と、柔軟な澤瀉屋の融合が
心地よかったです。