カンゲキ記

夢のひとときに感謝

スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』

やっとやっとスーパー歌舞伎のオグリがナマで観られる‼上演が発表された際に小躍りしました。

小栗判官は、2006年二十一世紀歌舞伎組の當世流小栗判官と2011年、四代目がまだ亀治郎さんだった時のを
拝見しています。ケレン味たっぷりの演出に「生きる」「信じる」というおもだかイズムたっぷりの
テーマ性、そしてそして笑也さん演じる照手姫(小萩)の愛らしさ…全てが好きすぎてツライ…
もうホント、おもだか好きすぎてツライ…毎日観たい…っていうカンゲキ月間を過ごしていたことを
思い出します(笑)

今回、判官役は四代目と隼人くんのWキャスト
若い隼人くんがどのような小栗判官を作り上げたかも十分気になるところではありますが
(名声通りの超美男子に仕上がっているだろうし!)おもだか好きとはしてはやっぱり
まずは四代目のほうを観ておきたいなっていうのと、お切符発売時点で判官以外の配役が
まだ出ていなくて…もしかしたら照手もWキャストなのかな?そうだとしたら四代目の時に
笑也さんが照手の可能性が高いよね…という邪(?)な気持ちとで四代目ver.を観劇することに
したのですが(^^;

結果、照手はいずれも新吾くんがお勤めになり、笑也さんは小栗一党の姐御的?存在の
小栗三郎(&パンチの効いた悪人・笑)というお役でした。役名を見た時はてっきり立役だと
思っていたのですが、笑也さんらしい凛々しさと優しさを兼ね備えたそれはそれは美しい剣士様で
ございました。さらりと靡く総髪と片袖の袂がひらりはためく様が流麗でいとをかし。
男性として生きていくことを決めたけど、女性の細やかさを以て照手に接する様子が
もうたまらなくたまらなくたまらなかったです(笑)

この、判官を慕い集う小栗一党というのが出てくるところが今回新しいところなのですが、
自分の知ってる小栗判官とは随分違って最初戸惑いました。
その他にも今までの作品とは異なる設定や展開があり不思議な感覚に陥りましたが、
科白の端々から、スーパー歌舞伎の揺るぎない根底を感じることができました。
横内さんの熱量の高い脚本。梅原イズム、おもだかイズムをひしひしと感じ、心が滾ります!

判官と小栗一党6人衆との関係が、タケルとタケヒコ、ヘタルベそして従者たちの関係性と
重なる部分があって胸熱…

後半の悪役では、僅かな時間ですが随分と楽しんでいらっしゃるご様子がその表情からお見受けできて、
存分に笑わせていただきました。(いや、状況的には笑う場面ではないのですが・汗)
これはこれで愉快な笑也さんらしいなぁ~と嬉しい気持ち。猿弥さんとのコンビは最強です!!

大抜擢の新吾くん、とっても健気で可愛らしい照手(小萩)の姿にキュンキュンしました。
十数年前の浅草歌舞伎、毛抜きで若干硬めのお姫様だった新吾くん。
今後女方として頑張っていきたいとの思いを語っていらっしゃいましたが、
本当にたおやかな女方さんになられたなぁ~とうっとり。
笑也さんの照手と重なる瞬間がいくつかあって、こういう風に芸が受け継がれていくのだなぁと
しみじみ感じました。当初は笑也さんが照手をされないとの事で寂しい気持ちがありましたが
「繋いでいく」姿を拝見して、あぁこれが歌舞伎を観る喜びなのかと
こみ上げてくるものがありました。

…そんなこと今更言ってるの?なんて笑われるかもしれませんが(^^;

好きな役者さんの技が次代に渡されていく瞬間に気づけた事は細く長く続くであろう
私の観劇ライフがより豊かに楽しいものとなる確信を得られたようで
とってもとっても嬉しい出来事なのであります。

 

でもでも、またいつか笑也さんの照手が見たいゾ!(笑)