カンゲキ記

夢のひとときに感謝

氷艶2017〜破沙羅〜

今回は、事前情報を全く入れずに行ったので、氷上で歌舞伎役者が一体何をやるのか?と
不思議でしたが、スケート滑ってました(笑)笑也さんはさすがアイスホッケー経験者なだけあって、
裾引きずりの衣装でスルスルスルスル〜。
まさしく異界の者っぽいヌルヌルとした滑りで浮遊しているかのよう。
終いにはスケート靴履いたまんまの毛振りも!!ビックリしたぁ〜。
笑也さんの体が毛振りの体制に入った瞬間「ホントに!?」と、声が漏れてしまった(^_^;)
私には、この笑也さんの岩長姫を見られただけでも十分すぎる程の価値がありました。
前々から、染五郎さんのやりたいことと澤瀉屋の役者さんの持つスキルってとてもマッチングするよなぁと
思っていましたが、今回もやはりといったところ。歌舞伎の本公演でももっと一座することが
増えるといいなと思います。
そんな染五郎さんも華麗なスケーティングで、六方を模したような滑りもあり、歌舞伎とスケートが
しっかり融け合っていました。染さんもその昔、ドラマでホッケー選手役やりましたもんね〜。
心得がしっかりおありなのでしょう。お見事です。
他にも、そこまでやっちゃうの!?なサービス精神旺盛な演出の数々。
来年、松本幸四郎名跡を継がれるワケですが、ますますダイナミックな役者さんに
なられることでしょう。お父様同様、いつまでもそのチャレンジ精神で、もっともっと
面白い歌舞伎を、面白いエンターテイメントを創造していただきたいと思います。

亀鶴さんは猿田彦と弁慶。歌舞伎役者側では唯一の善役です(笑)
口跡が良いから、スキッとしたお役がとてもお似合い。
歌舞伎ならではの表現の面白さを存分に楽しませてくださいました。
宗之助さんと廣太郎くんは、ヤマトタケルスーパー歌舞伎)の熊襲兄弟っぽい悪役。
チャーミングでなんだか憎めない。
チャリ場もしっかり受け持ってくださって、最後の大立ち回りでは、予想だにせぬ結末に大爆笑デシタ。
蝶紫さんたちは、歌舞伎のチョイワル見本市的なラインナップで氷上を賑やかにしてくれます。
スケート靴を履かず、氷の上で歌舞伎そのものの動きも。特殊なお靴を履いていらっしゃるのでしょうが、
ツルツルした氷の上でなんであんなに動けるのか?

……

私は、日本中で一番フィギュアスケートに疎いと言っても過言ではない人間なのですが(爆)
そんな私でも一目瞭然で顔とお名前がわかるトップスケーターの皆さん。
高橋大輔さんに荒川静香さん、織田信成さん、鈴木明子さん、村上佳菜子ちゃん、浅田舞ちゃん。

なんということでしょう〜〜〜。

贅沢すぎやしませんか!?

フィギュアスケートをナマで観るのも勿論初めてなのですが、こんなに素晴らしくてこんなに楽しいもの
だとは…スポーツと芸術の垣根がないというか、彼らの身体は間違いなくアスリートなのですが、その
内にあるものは芸術家・表現者としての繊細な機微なのだなぁと。
ただただ圧巻。

荒川さんの生バウアー(笑)これが、あのイナバウアー!神々しい…創造の女神というお役がピッタリ。
全てを包み込むような優しさに溢れる存在です。一方、配役には書かれていないお役もやっていらっしゃったのですが、
こちらがめちゃくちゃカッコよくて!!凄かった。これが世界のスケートなのかと。全身を使った表現が凄い。
フィギュアのことが全くわかんないから凄いとしかいいようがなくて申し訳ないのですが凄い。

高橋さんの王子様っぷりもとてもカッコよくて、総髪がとてもお似合いでねぇ〜!
毛束をサラ〜っと靡かせて舞い踊るんですよ。岩長姫じゃなくてもいたぶりたくなりますね(←)
途中、スケート靴を脱いで、日本舞踊とコンテンポラリー(?)の融合されたような踊りを
披露されました。これがまたまたカッコよくてねぇぇぇ。

そして、浅田舞ちゃん。もちろん、彼女がスケート選手だということは知っていますが、
私はバラエティ番組に出ている姿しか見たことがありませんでした。スケートの世界では色々とご苦労もされたとか。
氷上の彼女はなんと溌剌と美しい横顔をしていることか…想像以上に力強くそれでいて流麗。
まさしく舞っているかの如く。特に最後の立ち回り、剣を抜いて悪に立ち向かう姿が素敵でした。
メリハリのある動きで剣捌きがとても活きていて。TVで見る彼女明るさを残しながらも、初めて見る
浅田舞ちゃんがそこにいました。

鈴木明子さんと村上佳菜子ちゃんも、女性の優しさ強さを凛とした姿で表現していて美しい。
義経四天王や大蛇を操るスケーターの皆さんの身体能力にも驚かされました。
日本には凄い方々がたくさんいらっしゃるのですねぇ。


物語は、国産み、神話の世界かと思いきや、そこに仁木弾正はいるわ(氷上の鼠のシルエット最高でした!)、
義経弁慶はいるわ(笑)なんでもアリ。歌舞伎の綯交ぜ感の面白さが発揮されておりました。
とは言え、物語を追わずしても十分に楽しめるパフォーマンスの数々。

前半は歌舞伎のどっしりとした部分と、フィギュアスケートの軽やかさを鮮やかに対比させ、
後半では、二つの持つダイナミックさやケレン味を存分に融合させて。

スケーターの皆さんも歌舞伎役者の皆さんも体幹がしっかりしているので、お互いの事をやっても
表現がとても的確なのですよね。きっと、表現者として根幹に流れるものは同じなのでしょうね。
氷上にいる皆さんは歌舞伎とスケートの垣根を感じさせることがなく、各々が氷艶という世界に棲む
ひとりひとりといったカンジ。

本当に夢を見ているかのような恍惚の時間でした。