カンゲキ記

夢のひとときに感謝

『舞台 りんご〜木村秋則物語〜』

ル・テアトル銀座にて『舞台 りんご 木村秋則物語』を観劇。

久々にストレートプレイを見た。

りんごの甘酸っぱい果汁がじんわりと心に染み渡る・・・
そんな印象の舞台。(甘酸っぱいって言っても恋物語ではないよ)

舞台の上にだれも悪者はいない。

皆がそれぞれの信念を基に毎日を必死に生きている。

ただそれだけ。

必死だから苦悩もすれば衝突もする。迷惑もかけるし死にたくもなる。
そして笑いも生まれる。

理想を追い求めることも、現実をみて堅実に生きることも
どちらも決して悪いことではない。

ただ、どちらを選んだとしても生きることは容易いことではない。
特に今の世の中。

自分にとって最も大切なものは何か・・・
自分は何を選んでこれからの人生歩んでいくべきか。
そんなことをふと考えさせられた。

決して派手な舞台ではないが、舞台に立つ9人が
実に躍動的。

野良着や作業着・かっぽう着、長靴やつっかけ・・・
今にも農家独特の土の匂いがしそうな居間。

演じるというより、そこに生きている。

こんな素直なお芝居もいいもんだなぁ・・・と、しみじみ。

何より、昭ちゃんこと合田サン。今までにない雰囲気の
役柄にも関わらず、小気味好くハマっていて可愛かった♪
(多分そこが私にとって一番重要・笑)
ああいう遠慮ナシっていうか、お調子者のあんちゃん、
ウチの田舎にもいるよ。。
・・・但し、合田さんのようなイケメンに非ず。

アキノリ(長野博さん)、一哉(浅野和之さん)、昭一(合田サン)
・・・それぞれに家族を、そしてりんご園を支える男としての
切なる思いが交錯する場面は見ものです。

それから、ミチコ(サトエリさん)がアキノリに今の苦しい思いを
吐露する場面で忘れられない台詞がある。
何気ないことだけど、それが多分一番大切なことなんだと思う。



結局、

「人を思うは身を思う」

なんだな。