『染模様恩愛御書 細川の血達磨』
『染模様恩愛御書 細川の血達磨』初日観劇して参りました。
4年前、大阪松竹座にて「BL(ボーイズラブ)歌舞伎」として話題になった舞台。
<衆道>に身を投じる2人の青年を主軸に、仇討ち、主君への忠義…
様々な人間の愛や憎悪が絡み合う、、昼メロ的濃密ドラマ(笑)
目に飛び込んでくるもの全てが美しく、儚く…
夢心地とは正しくこの事。
いやー、美男美女がズラリと揃って眼福眼福(笑)
染五郎さん演じる友右衛門は、普段は三枚目的雰囲気も醸し出すが
(一目惚れしたお小姓に近付きたいが為に身分を捨ててしまう程の暴走特急ですから)
いざという時の凛々しさ、情の深さ…ちょっと不器用、しかし一直線な豪傑。
まさしく漢!
対象的に、柔らかく透明感溢れる色香のお小姓、印南数馬。
演じるは愛之助さん。久々にこういう中性的な役柄のらぶりんを拝見しましたが、
う…美しい。。 匂い立つ杜若。薄紫や薄桃色の着物がよく似合い、
爽やかさの中にも人々を惑わせる色気がたっぷり。
可愛いのぉ… そりゃ、男子も女子も心奪われるわ(笑)
そんな美男子 数馬に思いを寄せる美しき腰元 あざみ。
友右衛門と数馬の仲を知り嫉妬に燃える女子を熱く、時に冷徹に…
春猿さん、リアル過ぎて背筋がゾーっとします。
愛情が憎しみに変わり、殿様に二人の不義密通を告げ口しちゃう時のあの冷酷な顔ったら…
ちょうど、春猿さんから真正面の席に座っていたのですが、
自分が睨まれているようで、直視することができませんでした(笑)
細川のお殿様は門之助さん。
この人…優しいというかなんというか、、
ちょっとおバカさんじゃないの!?と笑ってしまうくらいのお人よし。
だけど本人は至って大まじめ。門之助さんの折り目正しい雰囲気と相俟って、
凄くチャーミングな殿様。
不義密通(本人たちにとっては純愛ですよ!)を「アッパレ!」
と解釈してしまうお茶目さんなのでありました(^^;
そして、この物語でたった一輪悪の花(は、花?/汗)
猿弥さん演じる横山図書。
どうやって生きてきたらこんな屈折した人間になってしまうのか…
そう心配してしまうくらい憐れな悪人。
染サンとの立ち廻りも鋭い剣捌きでかっこよかったデス。
その悪人に翻弄され不幸な運命を辿る図書の奥方いよ、きく(後妻で友右衛門の妹)の
二役に芝のぶサン。
この二人は周囲の思惑や運命の悪戯にて、事件に巻き込まれ、いつしかキーマン的存在に。
一番の被害者と言えます。
芝のぶサンの健気な姿が見ていてツライ(T-T)
とにかく、右も左も眉目麗しく、あっちも見たいし、こっちも見たい…
果たしてどこを見ればよいのやら<そんな場面が多く贅沢な舞台でした。
裃の片袖を抜いた喜之助さんも何だか色っぽかった(^_^;
殿様のお側に控える、いてう君の侍姿も凛々しく素敵でした。
BLを強烈に意識して演じている主演の二人がとびきり耽美で、ちょっと可笑しく…
しかし、それだけではない、武士の骨太な精神もキッチリ描いてあり見応え十分でした。