2人芝居『いなくなった猫の話』
会場は神楽坂近くのこぢんまりとしたギャラリー「絵空箱」
バーカウンターが設置してあり、そこでお芝居が繰り広げられます。
こういうレストランシアタータイプの舞台は何度か観劇したこと
ありますが、自分も物語に取り込まれしまうような臨場感に
ワクワクします。
そして、それ以上に緊張も・・・役者さんとの距離がめちゃくちゃ
近いので、それにドキドキするのはもちろんなのですが、
自分の視線や少しの挙動がお芝居の妨げになりはしないかと
自意識過剰に、じっと息を止めてしまい苦しくなることも(笑)
今回は森奈津子さん原作の「いなくなった猫の話」を杉本彩さんと
相馬圭祐さんの2人芝居で・・・
地球ではないどこかで、バー・微睡亭を切り盛りする女性 小夜と、
彼女が昔託され育てた、猫型ハイブリッド(猫と人間の混血)との
切ない切ない物語。
SF仕立ての不思議なストーリーですが、誰かを慈しみ想い続ける心。
大切であるが故に、秘めざるを得ない気持ち。
そんな愛するという事の根幹をとても原始的にストレートに魅せてくれる
お芝居だったと想います。
チケットにはウェルカムドリンクが付いており、物語の舞台となる
カウンターでバーテンさんが好きな飲み物を作ってくださいます。
作品にちなんだオリジナルカクテルも用意されており、私はその中から
「赤とんぼ」というノンアルコールカクテルを作ってもらいました。
オレンジジュースに真っ赤なグレナデンシロップが鮮やか。
情熱的な色味に反して、すっきりとした酸味の爽やかなドリンク。
この猛暑にもピッタリの風味。
相馬くんのお芝居を拝見するのは、初演の真田十勇士以来なので実に5年ぶり。
複雑な生い立ちの混血種をふわりとした空気感とナイーブな表情で。
相馬くんといえばシンケン・源太の朗らか元気印のイメージも強いですが、
透明感と影という二面性が背中合わせの様が何とも色気があっていいなぁ~と
思っています。
猫とヒトとの混血故に、ヒトより先に老いてしまうという設定だったので、
もっと年を重ねたらまた演じて欲しいと思える役柄でした。
(もちろん、その際も猫耳付きで!)
そして、彩サマ。
初日ということもあり、その緊張がこちらにもヒリヒリと伝わってくる場面も
ありましたが、それを凌駕する圧倒的な存在感と気品漂う妖艶さ。
こんな眼前で彩サマのお芝居を拝見できる機会なんて、残りの人生
もうないかも知れない!
目で耳で嗅覚で……五感フルスロットルにして
お二人の美しさとpassionを存分に堪能させていただきました。