カンゲキ記

夢のひとときに感謝

春秋会男組公演vol.3〜第二部『春秋会男組錦姿』〜

春秋会男組公演、第二部は『春秋会男組錦姿』
舞踊メドレー(?)です。

歌舞伎を見始めて10年ちょっと(になってしまった…)なのですが、
最近ようやく、舞踊の面白さがわかるようになってきた気がします。
(えぇ、気がするだけです・・・実際は何もわかっちゃいないハズです。。)
ですから、今回のプログラムはとても楽しみにしていました。

まずは、先ほどのお芝居で散々な目に遭わされた(^^;鶴亀屋の
手代を演じられた辻本伸太郎さん(若柳禄太郎さん)の「上汐」
色紋付の素踊りです。 空高く打ちあがる花火に、まくわうり屋さんに、
えだまめ屋さん、そして舟遊びに興じる江戸の人々。
軽やかな中にも力強さを感じさせる舞いで、大川端のキラキラとした
夏の風景が浮かんでくるようです。若い男子の舞いはよいですねぇ〜、眼福♪

続けてEitaさん。こちらも素踊りですが、女方舞踊です。
Eitaさんは、先のお芝居で髪結いを演じていらっしゃいましたが、
実はリアル髪結い(?)でいらっしゃって、ヘアメイク界では大変人気の
実力派アーティストさんだそうです。
いやぁ、もうこのEitaさんの踊りが可愛らしいったらありゃしない♪
可憐という言葉はまさしくEitaさんのためにあるんじゃないかと
思ってしまうくらい。紋付き袴で踊っているのにさ!

踊りは伸太郎さんと二人での舞に移ります。更に可愛さUPです。
伸太郎さんの精悍さと、Eitaさん可憐さに自ずと頬が緩みます。
よよっ!ご両人!!

私は素踊りを見る機会はあまりないのですが、化粧・拵えをせずとも
こんなにも情景が目に浮かぶものかと感心いたしました。

お次はカムイくん。こちらも女方舞踊を素踊りで。
さっきまで、大店のたおやかな娘さんでしたが、素顔は
イマドキボーイ(←言い方が古かろうもん。。)ですねぇ。
でも、淡い桜色の紋付が良くお似合いで、これまた素踊りのクセに
色っぽい!・・・まだ、あどけなさが十分に残っているというのに
何でしょうね、この色気は。はー!
小気味よく懐かしい、お江戸日本橋に乗せて東海道五十三次
弥次さん喜多さんがこの可愛らしくも色っぽい道中に居合わせたら、
鼻の下ノビノビで大変な事になっちまうだろうなぁ〜。
などと、相変わらず妄想の翼を広げてニヤニヤしているケメなので
ございます、ごきげんよう〜。

カムイくんと男衆での端唄「深川」
いなせな浴衣姿の男衆がズラリ。大歌舞伎でもなかなかない程のイイ男
揃いで嬉しくなっちゃいます♪目移りしちゃいます♪(どぉいうこと!?)

さてそれから、お待ちかねの幽霊さん…ではなく、胡蝶さんの「たけくらべ
先ほどの芸者上りの幽霊さんとは打って変わって、愛らしい
娘姿でご登場。白地の着物に赤い帯が映え、なんだか「りんごちゃん♪」
と呼びたくなるような愛くるしさです。
(いや、実際は美登利ちゃんだと思いますが…)
瑞々しい踊りで、心がワクワクしました。胡蝶さんはお芝居も踊りも
楽しませるエネルギーに溢れていて本当にすごいです。
機会があれば、ぜひまたお芝居や踊りを拝見したいと思います。

そしてこの舞台、踊るのは人間だけではございません!

人形までもが恐ろしく優美な舞を披露するのです。
そう、ホリ・ヒロシさん。あの妖艶なお人形を生み出すホリさんが
ご自身のお人形に命を吹き込みます。
等身大ほどの傾城のお人形。黒内掛が彼女の格や優美さを
引き立てます。簪を直す仕草、懐紙を口に加える姿、細かい動きまで
まるで生きているかのようです。ホリさんの動きに人形の動きが
呼応して、人形を操っているというより、連れ舞をしているかの
ような印象でした。

最後は、一部の出演者も凡てご登場でのフィナーレ。
ホリさん、胡蝶さん、ホリさんの脇をしていた伸太郎さん以外は、
お揃いの白地の浴衣で、夏らしい装い。
もちろん、合田さんも。素顔での浴衣姿もとびきりですよねぇ〜。
サラリと流した前髪が、髷姿とはまた違った味わいの色気を
醸し出していらっしゃいます。

木久扇師匠の先導にて、演者のみなさんが客席へ三方礼。
(7日の昼の部は、木久扇師匠が笑点収録にてご不在だったため、
合田さんがトリをお務めになられました。ちなみに師匠、この日の
収録で座布団10枚獲得したそうです・笑)
腰骨のあたりに指をきっちり揃えて、腰をスーッと倒す綺麗なお辞儀。
この所作が拝見できるのも、合田さんの舞台の秘かな楽しみであり、
醍醐味なワタシです。
幕が下りきるその瞬間まで、隙のない美しさであります。

プログラムを拝見すると、今回は様々な流派の方が入り混じっての
踊りだったようですが、何というか、流派は色々あっても、踊りの性根って
いうのはひとつなんじゃないかなぁ〜という気がしました。
唄に紡がれている日本古来の風景・人物・植物・匂い…目に見えるものも
見えないものも、それら全てを体ひとつで表現しなければならない。
それに必要なものは何より、日本人が持つしなやかで色彩豊かな感覚、
そしてそれを大切に育む心ではないかと!

そんな日本舞踊をとても美しく、何より楽しく魅せていただき、
また一歩、舞踊との距離が近づいたような気がします。