カンゲキ記

夢のひとときに感謝

おだわら市民学校報徳塾公開講座  映画「二宮金次郎」監督が描きたかった金次郎像

観劇ではありませんが、感激しましたので
記録を残しておきたいと思います。


おだわら市民学校の公開講座にて、五十嵐監督の講話が
おこなわれるとの事で聴講して参りました。

約1時間30分、監督の金次郎(尊徳)に対する思い、今回の映画制作に
あたってのエピソードを大変濃い密度でお話しくださって、作品への
期待が益々高くなりました。
公開後、舞台挨拶等で監督のお話が聞ける場面はあるかと思いますが、
こんなにじっくりたっぷりというのはそうそう無いでしょうから、
今回、小田原まで足を運んで悔いなし。おつりがくるくらい充実でした。

まずは、なぜ二宮金次郎の映画を作ることになったのか、そのキッカケや
金次郎をリサーチしていく中で、彼のどんな部分に惹かれて行ったのか
そのような内容をお話しくださいました。

きっかけは、前作『十字架』制作時に舞台となった筑西市の教育委員長さん
から、金次郎がこの土地を復興させたという話を聞いたことだったそう。
それまで監督は二宮金次郎の業績を全く知らなかったのだとか。
そこから、小田原、日光など、金次郎に縁のある各地を映画監督という
身分を隠して(笑)訪れ、現存する日誌や書物、その場所の景色や空気などに
触れていくうちに彼の人となり、人間としての面白さに惹かれこの人を
映画にせねばと思ったそうです。

ただ、小田原の二宮神社で引いたおみじくが大凶だったそうで(笑)
「これは、拒絶されている!?」ともう2回(爆)おみくじをひいたところ
凶と小吉だったとか・・・・・・映画が無事完成して本当によかったです(^^;

日光の蔵に残る日誌(家計簿)には、奥方のおしろいの値段まで
几帳面に記してあったそう(女性としては旦那さんが自分の身だしなみに
関わる部分にまで細かいのはちょっと大変ですけど・汗)


ただ、単にケチという訳ではなく、キチンと道理があっての倹約。
物の利を最大限に活かすためにはどうすればよいか、また必要な部分には
惜しみなく支援するといった一歩先を見据えての仕法や経済観念に
監督は感銘を受けたご様子でした。

そのような金次郎の姿が、監督のフィルターを通してどのように
描かれているのか楽しみでなりません。
監督は、柳沢慎吾さんが演じる五平に自身を投影する部分があったと
おっしゃっていたので、金次郎と五平がどのような係わり合いを持ち
お互いどのように変化していくのか、その辺りも見どころなのでは・・・
思います。早く本編が観たい。

制作にあたっては、当然ながら苦労の連続だったとの事ですが、
それ以上に、廻り合わせの妙やロケ地の人々の協力に支えられた部分も
大きかったそうです。
今回、CGを担当されたデザイナーさんがなんと金次郎さんと同じ
小田原・栢山のご出身なのだとか!
酒匂川河川敷のシーンは、周囲が近代化しており江戸時代の映像を
撮るのに不向きなため、加工なしで当時の雰囲気が出せる土地での
撮影も検討されたそうです。しかし、監督はじめ
「このシーンは酒匂川で撮らないと意味がない」
というスタッフ陣の熱意が実り実現。
デザイナーさんが土地の人であるため、昔の風景を紐解きながら
富士山の見える位置、大きさなど緻密に当時の再現が叶ったとの事。
確かに酒匂川には大きく立派な橋がかかっていたり、鉄塔やマンションなど
江戸時代に存在してはならないものが満載です(笑)
それがスクリーンではどんな風景になっているのか……
ここも見どころです。

他に、貴重な田んぼを撮影のために提供くださった日光小百の農家さんの
お話や、撮影時期にあわせて当時の品種の菜の花を育ててくださった
栢山の方々のエピソードなど、心温まるお話も聞くことができました。
たくさんの人の想いが詰まった映画、その想いを上回るたくさんの人に
観て貰えるといいなと思います。

講座では、2パターンのトレーラーもお披露目。

印象的なシーンを短いカットで繋いだ、スタイリッシュな雰囲気のもの(Aパターン)
もうひとつは、物語の流れに沿った映画の全体像を想起させるもの(Bパターン)

役者さんたちの表情が本当に本当に良くて、早く本編を見たい!!(二回目)

合田金次郎さん、泥まみれの姿もかっこよすぎてどーしましょ……
敵役・豊田正作との対決シーンは息を呑みます。
トレーラーだけでも実に様々な表情を見ることができ、
クオリティの高さ、スケールの大きさを感じることができました。

早く本編が見たい(三回目)

田中美里さん演じるナミさんのたおやかな姿も美しい。

少年金次郎の姿もチラッとありましたが、演じる安藤海琴くんは
演技が初めてとは思えない雰囲気でビックリ。


フライヤーもいただきましたが、これがまたすごく素敵な瞬間で。

f:id:cosmic-fancy:20181024215137j:plain

恐らく、金次郎が成田山から桜町に帰還したシーンだと思われます。
寄り添い抱きしめ合う金次郎一家の姿はもちろんのこと、
その奥の村人一人一人の表情が何とも言えません。
右側でたくさんの荷物を抱え、零れんばかりの笑顔を湛える村松利史さん!
…まじまじと眺めて、あっ!村松さんだ!と気づいたのですが。
人の良さ全開のこの笑顔、作品の善良さまで物語っているようです(笑)
その後ろで恐る恐る家族の姿を見つめる五平(慎吾ちゃん)は、
何を思っているのでしょうか。
この写真だけでこの場にいる人の様々な気持ちが想像でき、ワクワクします。

早く本編が見たい(四回目)


講座終了後は、商店街のはずれにある「伊勢治」さんという
オシャレな文具店に立ち寄り。こちらのミニギャラリーで
金次郎ムービーの展示をやっているとの事でお邪魔してみました。
数点のスチル展示と、Bパターンのトレーラーの放映。
平日のお昼ということもあり、店内がゆったりしていたので、
リピートで流れるトレーラーを、ずーっと眺めて長居してしまいました。
飽きない。何回見ても飽きない。

お礼に文房具と小田原おさんぽマップをお買い物。

1月6日の先行上映は小田原市民以外も鑑賞できるのかな?
ぜひ、見られるといいな。

だって、早く本編が見たい(五回目)