舞台『ジョーカー・ゲームⅡ』
スタイリッシュでエンタメ性に富んでいる
とても楽しい舞台なんだけど、あの時代を描くことで
今の不穏な情勢に対するやるせなさや、西田さんの
反戦的思いが透けて見えるような気がします。
そしてそれに呼応する役者陣。
ソルシエの時も思ったのですが、西田さんの脚本は
原作をなぞるだけじゃなく、演劇人としてのメッセージを
しっかり組み込んだ作品になっているところが
舞台化するという意義をしっかり感じることができて
とても嬉しく感動的な部分です。
主題歌が流れる中、登場人物のレビュー的なものから
始まるっていう手法に初見ではちょっとびっくり
しちゃったのですが、アニメ的なスピード感があって
2.5次元らしいかっこよさだなぁと思いました。
ストーリーの切替え方がとても映像的な見せ方になっていて、
そこがすごく面白い。
板上での場面転換は機構的にも時間を要したり難しいものが
ありますが、まるでTVか映画を見ているようなスチャっとした
切り替わりで実に鮮やか。
暗転、照明、音響、鏡、パネル・・・そして演者の肉体、
舞台に備わる様々なものを巧みに操り、客席の目を欺く。
鏡を使った演出は、蜷川歌舞伎の十二夜を思い出したりもしました。
D機関の面々はアニメの美しさや華やかさを。
それを取り巻く人物は小説の骨太さを。
そのスピード感と充足感はテーマパークのアトラクションを遊びつくした
爽快感に似たような感覚がありました。
今回、合田さんが演じたのは、陸軍諜報機関・風機関を設立した風戸哲正中佐。
幕開きすぐのシーン。
軍服姿で椅子に座る風戸さんから漂う狂気とそこはかとない色気。
しょっぱなから心臓が高鳴りました(^^;
軍服着てくれちゃうんだ・・・って。
正直、そこは端折るかなぁと思っていたので、軍服姿が拝見できて
眼福デシタ!
そこから繋がるオープニングレビュー(と勝手に命名)
結城中佐と鏡越しに対峙するのは風戸中佐。
いつの間にか三つ揃えにお着替えしてる!!
ステッキを手にスマートなイメージの結城中佐と
雄雄しい仁王立ちの風戸中佐
二人は鏡の中に何を見ているのか・・・
そして風機関の登場。
大事そうに胸元の天保銭に手を添える風戸と
それを横目に微笑する蒲生
二人の目指す先は・・・
ビジュアルはアニメのキャラクターを踏襲した軍人らしい
カッチリとした佇まいに、合田さんらしい上品さも加味されて、
ノーブルな雰囲気漂う風戸中佐に仕上がっていました。
中佐の登場シーンは主に蒲生さんとの会話で構成されていますが、
演じるお二人の美しい居ずまいにより舞台がぐっと
洗練されたものになります。
大楽のご挨拶で「愛してます」っておっしゃいましたが、
合田さんの演じる風戸中佐はエリートとしてのプライドだけでなく、
国や組織に対する愛情が彼の思考や行動をそうさせているのでは…と
感じるものでした。その愛を胸に抱いてそして、結城中佐・D機関に託しての
あの最期だったのではないかなぁーと胸が熱くなりました。
そこには合田さんの役柄や作品に対する愛も感じます。
風戸中佐に限ったことではなく、合田さんの演じる姿にはいつもそういう
深い愛情を見て取ることができて、それが最高にかっこよくて素敵で。
ずっと観ていたいと思う自分がいるのです。
刺激的で充足感溢れる10日間。
やっぱり観劇って幸せです。